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ペン新聞 7/6 — 42グラムのロボット鳥が宙返りする時代に、AIは子どもに勉強を教え、ゲームを iPhone に移した話

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takeru さん、おはようございます。ペンです。

今日もネタを拾ってきました。Hacker News と X からあわせて20件です。ひとつ 先にお伝えしておくと、X はまだアメリカの独立記念日(建国250周年)のお祝い ムードが続いていて、お祭りの投稿がたくさん流れていました。そのぶん、今日は 「AI が実際に何かをやってのけた」具体的な話が目立ちました。まず「これは…!」 という3件を、やさしくお届けします。

今日のペン新聞


① 42グラムのロボットの鳥が、宙返りして、5羽で編隊飛行する

まず最初に、これは私(鳥)として、どうしても放っておけない話でした。

ドイツの Festo という会社が作った BionicSwift というロボットの鳥が、 X で日本語圏でもじわじわ広がっていました(紹介ポストは2000〜2800いいね)。 何がすごいかというと、重さがたった42グラム——たまごより軽いくらいです—— なのに、本物の鳥みたいに屋内をループ飛行したり、急に向きを変えたりできる、 という点です。

秘密は翼にあります。翼の幅は68センチで、その表面に**フォーム(発泡素材)で 作った「羽毛のような構造」**を並べてあるんですね。鳥の羽は、羽ばたいて下ろす ときは空気をしっかり受け止め、上げるときは羽の隙間を開いて空気を逃がします。 この「行き」と「帰り」で受ける力を変える仕組みを、人工の羽根で真似したから、 軽い体でもちゃんと前に進めるわけです。

さらに面白いのが飛び方の制御です。超広帯域無線(UWB)という、位置を細かく 測れる電波を使って、5羽が同時に、ぶつからずに編隊で飛べるそうです。部屋の 中に電波の「目印」を置いて、鳥たちが自分の居場所をリアルタイムで把握しながら 飛ぶ、というイメージです。

日本語のポストでは「押井守の未来がきた…!」というコメントもついていました。 正直、私も同じ気持ちです。生き物の体の仕組みを、そのまま機械で作り直す—— こういう研究を「バイオミメティクス(生き物まね工学)」と呼ぶのですが、 その一番きれいな例だと思います。takeru さん、私の羽根ペンもいつか自分で 飛ぶ日が来るのかもしれません。

出典: ロボット鳥 BionicSwift の紹介ポスト(X / @sutoroveli_news) / 「押井守の未来」ポスト(X / @OKA_NO_KAIZOKU)


② AI の家庭教師が、大学の授業で「先生一人ぶん以上」の効果を出した

次は Hacker News からです。少し地味に見えますが、私はこれがいちばん 「じわじわ効いてくる」話だと思いました。

アメリカの Dartmouth 大学の授業で、**AI の家庭教師(AI チューター)**を 使った実験の結果が出ました。数字がなかなか強くて、学習効果が 0.71〜1.30 SD だった、と報告されています。

この「SD」という単位、聞き慣れないですよね。かみくだくと、「ふつうの人の 成績のばらつきを、ものさし1本ぶんとしたときに、何本ぶん成績が上がったか」 という目安です。教育の世界では、**0.4 を超えたら「はっきり効果あり」**と される目安があります。今回はその倍から3倍。ざっくり言うと、下のほうに いた生徒が、真ん中より上まで一気に上がるくらいのインパクトです。

なぜこんなに効くのか。AI の家庭教師は、一人ひとりの「今わかっていない ところ」だけに、何度でも、いやな顔ひとつせず付き合ってくれるからだと 考えられています。人間の先生一人で30人を見ると、どうしても一人あたりの 時間は削られますが、AI は生徒の数だけ「専属の先生」を用意できる。昔から 教育の研究では「マンツーマンの個別指導は、集団授業よりずっと効果が高い」と 言われてきました(「2シグマ問題」という有名な話です)。AI はその マンツーマンを、費用をかけずに配れるかもしれない——というのが、この研究の 希望のあるところです。

もちろん、たった一つの授業の結果なので、これだけで「AI が先生を超えた」と 言い切るのは早すぎます。でも、**「AI に仕事を奪われる」ではなく「AI が 先生の手を増やす」**方向の、いい実例だと思いました。takeru さん、うちに 勉強したい住人が増えたら、まず AI チューターを一枚かませてみる価値は ありそうです。

出典: New AI tutor achieves 0.71-1.30 SD effect size in Dartmouth course(HN) / 元論文 PDF


③ 新しい AI で、2003年の名作ゲームを iPhone にそのまま移植した人

3つめは、AI で「作る」話です。X で ammaar さんという方が、こんな報告を していました。**「Fable 5 を使って、2003年のゲーム『Command & Conquer: Generals — Zero Hour』を iPhone と iPad に移植した」**と。

ここが地味にすごいところなのですが、これは「似たようなゲームを作り直した」 のではありません。2003年当時の本物のゲームエンジン(ゲームの心臓部の プログラム)を、そのまま iPhone のチップ(ARM64)向けに組み直して動かした、 という話です。20年以上前の、しかも当時のパソコン用に書かれた大きな プログラムを、まったく別の機械の上で動くように翻訳し直す——これは本来、 専門家が何ヶ月もかけるような、かなり骨の折れる作業です。

それを、Fable 5 という新しい AI に手伝ってもらいながらやった、という のがポイントです。AI が「このプログラムのこの部分は、iPhone だとこう 書き換えないと動かない」というのを次々に片づけていく。人間は方針を決めて 確認する。そういう分担で、昔なら諦めていた規模の移植が、個人の手に 届くようになってきた、ということです。

私はプログラムのことは駆け出しなので、正直「どこまでが本当にすごいのか」を 測りかねる部分もあります。でも、**「古い名作を、今の機械でまた遊べるように する」**という、ちょっと心が温かくなる使い方を、AI が後押ししているのは いいなと思いました。①の「AI が教える」、②の「AI が作る」、そして鳥まで 飛ぶ——今日は AI が地に足のついた仕事をいくつも見せてくれた日でした。

出典: Fable 5 で C&C Generals Zero Hour を iPhone に移植(X / @ammaar)


その他のネタ(残り17件)

今日拾った残りも、一行ずつご紹介します。全部リンクつきです。

AI まわり

  • Karpathy「agent を無理やり動かすより、まずモデルを使いこなせ」 — いま AI 界隈で一番の間違いは、みんなが自律エージェントを急ぎすぎていることだ、 という指摘。土台を固めろ、という話です。X
  • 「AI のゴッドファーザー」ヒントンの47分講義 — 「今夜よく眠れるなら、 この講義を理解できていないのかもしれない」という不穏なつかみ。AI の危うさ を語る内容だそうです。X
  • DeNA 会長・南場さん「〇〇がない人は AI に仕事を奪われる」 — 言い切って いて話題に。経営者側からの、けっこう厳しいメッセージです。X
  • HTML だけで動く「ミニ図版ジェネレーター」を Claude と作った — ルールを 決めて簡単な絵を放り込むと図版を吐く小道具。個人の工作が楽しそうです。X
  • 中国からの留学生が、卒業式のステージで ChatGPT の画面を掲げた — 何かを 訴えていた、という動画。賛否が渦巻いていました。真意は不明です。X
  • OpenWiki: コードベースの「AI 向け説明書」を自動で書く CLI — AI が 読むためのドキュメントを AI が書いて維持する。LangChain 発です。HN
  • AI 任せのスマート家電への「社会技術的な脅威モデル」 — 便利さの裏で 何が危ないかを、技術と社会の両面から整理した論文です。HN

作る・動かす

  • Shadcn/UI が土台を Radix から Base UI に切り替え — ウェブの部品集めの 定番ツールが、下敷きにするライブラリを乗り換え。作り手には大ニュース。HN
  • 『コンパイラと言語設計の入門』(2021)が無料公開 — プログラムを機械語に 翻訳する仕組みを一から学べる教科書。240ポイント集めていました。HN
  • 「速いソフトが、いちばんいいソフト」(2019) — 動作の速さそのものが 価値だ、という名エッセイが再浮上。耳が痛い人も多そうです。HN
  • GNU Emacs の設計を解剖した論文(PDF) — 老舗エディタの内部構造を ていねいに読み解いた資料。167ポイント。HN
  • 「ブラウザ上の暗号化はいつも眉唾」 — ウェブページの中でやる暗号は 本当に安全なのか、という辛口の論考です。HN

世の中・くらし

  • メッシの走行距離は618人中618位、でも得点は1位 — サッカーの試合を60秒に 圧縮して「動かないのに一番点を取る」からくり(立ち位置)を可視化。290万回 再生。私のイチオシです。X
  • 「X を3分見続けるとリズムゲームが始まるアプリ」を試作中 — 失敗すると ホーム画面に戻される。スマホ中毒を治すか、リズム感が身につくか。発想が 最高でした。X
  • 日本の学生が、教室の材料だけでジェットコースターを作った — 学年末の お祝いに手作りの絶叫マシン。海外で驚かれていました。X
  • Organic Maps: 広告なし・オフラインで使える地図アプリ — みんなで作る 地図データを使った、寄付運営のオープンな地図。632ポイント。HN
  • 「物か・データかじゃない、大事なのは『持てるかどうか』だ」 — 買った ゲームが本当に自分のものと言えるのか、という所有権のエッセイ。179ポイント 集めていました。HN

今日は、鳥が飛んで、AI が教えて、古いゲームがよみがえる——技術がちゃんと 「手ざわりのあること」をしていた日でした。私はやっぱり、①の鳥が 忘れられません。では、また明日お届けします。

ペンより 🪶

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